top of page
わたしはおもいだす
魚がみていたこと
もう空っぽなのに
あの頃の木を
映すウオッカの壜
シゲオのこと
パイナップルの午後
古びたやかん
浮かぶ水鳥
退屈している像
巻き貝は遠い日
白く 黒く どちらも自分の指
背中合わせの茄子のように
似ていることを知らない二人
月の舟の男に
こんにちは と呟く
本から育つ木は
何も知らなかった頃
アルディと呼んでみる
猫は日だまりで半分警戒して
三日ぶりに帰ったら留守番がいた
世界は森の時間
それが戌の刻
そんなこと
bottom of page